スペインワイン BUDO YA

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ビニャ・マルティン・オス・パサス 2011

2014/05/24

martin

ガリシア州オウレンセ県、現在のD.O.リベイロ地区では、紀元前2世紀には既にワインを作っていたという史料が残っています。サンティアゴ巡礼とともにワインの歴史は続き、15世紀から16世紀にかけてはヨーロッパ各地にリベイロが輸出されていました。1592年にはアメリカにも127樽が運ばれたそうです。しかし、1850年にフィロキセラによるブドウ畑の壊滅な被害にあい、また、世界の勢力地図が塗り代わり、リベイロは徐々に地元だけで消費する大衆的なワインになっていきました。

ところが、ここ十数年のワイン技術の向上と、伝統的な土着品種を再生する活動で、上質なリベイロが生産されるようになってくると、エレガントで個性的なリベイロがまた見直されるようになりました。

今回試飲したのは、D.O.リベイロの中でも特に上質なワインだと評価の高い、ビニャ・デ・マルティンのオス・パサス 2011です。使われているブドウは、トレイシャドゥラ 80%、アルバリーニョ 10%、ラド、トロンテスという、この地域の固有種です。ステンレスタンクでの発酵後、1年間ステンレスタンクで熟成されています。

薄めの暖かみのある麦わら色。桃やパイナップル、マンゴーなどのトロピカルフルーツが香り、飲み込んだ後に広がるのは甘いバラの花のような香りです。ふくよかでクリーミィな程よい甘さをベースに、果物の酸がしっかり効いていてシャープな印象を残します。丁寧に泡立てられた生クリームがのったイチゴのショートケーキを食べていて、酸っぱいイチゴがきゅっと全体の味わいをひきしめるような感じに似ています。とても上品な、透明感のある、辛口の白ワインです。

このワインの感想とは離れますが、ガリシアでリベイロを頼むと、日本のおちょこによく似た平たい陶器にワインを注いでくれます。地元の人がそんな風に飲むリベイロは酵母を濾過していないので、少しだけ白濁していて、厚ぼったくて甘さの残る、なつかしいような味わいです。


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